NPOみちてるは、平成18(2006)年10月14日の総会にて産声を上げました。
まずは、そこからの歴史を語る前に、NPOみちてるが誕生するまでの歴史をご紹介したいと思います。
戦中文部省に勤めていた安部利見は、終戦直後、故郷である広島県尾道市に帰り「世のため、人のために」との思いで、昭和26(1951)年に社団法人・尾道道輝社会福祉協会を設立し、貧しい学生のために奨学金支援を行う等の社会事業を行い始めました。
同時に、戦後、街の至る所で子どもたちが大人に混じり、花札やサイコロの賭け事をしているのを目の当たりにし、子どもたちの将来を憂いた氏は、同年、日本ボーイスカウト尾道第1団、ガールスカウト広島第4団を発足しました。両団を合わせて、「道輝スカウト団」と呼ぶようになります。
発足から多くのスカウトが学び、巣立っていきましたが、大人になって世の中に出て働きだした彼たち彼女たちの中には、スカウト精神を継いで、それぞれにボランティア活動を行うようになった人も多くいました。
そのなかでも、歌を歌う事を通して活動する人、楽器を奏でる事を通して活動する人、演劇や芸を通して活動する人が多く、自然とサークル化していきました。
当時は、主に地域行事に参加をしたり、老人施設への訪問などが主でした。
2000年代に入り、時代はNPOの流行を呼びました。
任意団体で続けるよりは正式な団体として市民権を得て、さらに「世のため、人のために」お役に立ちたいとのメンバーの総意を受け、また別の分野にて志を同じくしお茶会開催の活動を続けていた茶道サークルも加えて、この「NPOみちてる」の設立となりました。
このように誕生したNPOみちてるは、施設訪問を続けながら、コーラス部である「みちてるコーラスソサエティ」(M.C.S.)・ブラスバンド部である「みちてるミュージックソサエティ」(M.M.S.)・演劇部である「スターライトクラブ」(S.L.C.)合同での発表の場として、設立同年11月23日に第1回NPOみちてるコンサートを開催し、300名を超える来場者を得ました。


また、設立以前の平成15(2003)年より“誰でもが気軽に参加し日本伝統文化を体験できるお茶会”をテーマに開催していた瑠璃茶会を毎年開催することとし、多くの来場者にお越しいただくことになりました。

また、以前にも増して、演劇部は施設訪問を、コーラス部は地域行事にて合唱での参加や演劇部と合同にて施設訪問を、ブラスバンド部は地域の年始パーティーに呼ばれ演奏を、と毎年活躍を続けることになりました。

ここからは、NPO活動のなかでも特筆すべき行事にだけ触れてまいりたいと思います。
平成20(2008)年6月29日には、会場を尾道駅前のテアトル・シェルネに移して、第2回NPOみちてるコンサートを開催しました。
コーラス合唱、バンド演奏、またコーラス合唱・バンド演奏を盛り込んだ演劇に加えて、外部協力団体として、地域のバトン教室やヘルマンハープ教室の皆様にもご出演いただき、700名が入る大ホールがいっぱいになりました。

平成23(2011)年3月11日に、東日本大震災が起こりました。
世の中では、音楽や喜劇は自粛するような流れでした。
6月19日に第3回NPOコンサートの開催を予定していましたので、延期するかどうするか理事会で議論を繰り返しましたが、“尾道から笑顔を発信して復興のお役に立とう”と意を決し、「東日本大震災チャリティーコンサート」とし、樽募金で集めた募金はすべて日本赤十字に寄付させていただきました。

平成24(2012)年、この年、瑠璃茶会は第10回開催を迎えることになり、記念行事として、備後地区の海外からの留学生や先生方をお茶会にお招きし、日本伝統文化の発信を行うとともに、現役スカウトたちとの交流も行いました。
お席の交代の合間に、ブラスバンド部もサプライズ・ゲリラライブを行い、歓声を受けました。
この「国際親善お茶席」の企画はたいへん好評を得て、この年から毎年行うこととなりました。
海外の方は、待合での雅楽の生演奏にも毎年興味を持ってくださっています。

平成25(2013)年には、みちてる文化市を開催いたしました。
会員や関係者の会社から出店をしてもらい物販販売を行い、地域ごとに分かれて飲食出店を出し、ステージを設けて各部の発表などの演出も盛り込みました。
各店舗、利益の一部をボーイスカウト尾道第一団に寄付していただき、青少年育成に役立ててもらいました。



平成28(2016)年より、NGO・KPACとご縁をいただいて、フィリピン・トンド地区にあるSRD幼稚園の園児たちの里親制度を通して、国際協力を行うことになりました。
平成27(2015)年6月28日には、第4回チャリティーコンサートを開催いたしました。
このチャリティーは、当時フィリピンで台風被害を受けた子どもたちを支援するために行いました。
この回より地域のバレエ教室がご協力くださり、コンサートに花を添えてくださっています。
コンサート後、樽募金で集めた寄付金を持って、フィリピン・トンド地区の幼稚園へ理事長をはじめ役員数名で訪問いたしました。


令和元年(2019)年7月21日、「チャリティーフェスティバル」と名称を変え、5回目となる音楽芸能発表会を開催いたしました。
NPOみちてるが主として支援している国は前述したようにフィリピンです。
支援先の幼稚園から先生とその息子さんを日本に招聘して、会の冒頭に「フィリピン・レポート」として、現地の生活などのお話をしてもらいました。
実は戦後間もない昭和34(1959)年にボーイスカウトの第十回世界ジャンボリーがフィリピンで開催されて、その大会に尾道第一団から四名のスカウトが、海を渡り参加をしていました。
そのスカウトの一人が地元フィリピンのスカウトと出会い、話を聞くと、彼の両親は日本兵に殺された戦争孤児だったそうです。
「それでもお互いにスカウトであるから兄弟だ!」と怨恨を超えて友情を交わしたエピソードを当の本人からお話してもらう、そんな一幕を会のなかに設けました。
NPOとしては最近からのお付き合いですが、実は60年以上も前からフィリピンとはスカウトを通して関わりがあったことに、関係者をはじめ、来場者の多くの方がご縁を感じられたはずです。


令和2(2020)年よりは、コロナ禍のため、大幅に活動を休止せざるをえなくなりました。
令和5(2023)年10月29日、第18回瑠璃茶会が、コロナ禍を越えて4年ぶりに絶好の秋晴れのもと開催されました。
初めて立礼作法で進められ、国際交流お茶席(2席)と一般席(4席)の計6席に、ハンガリーなど7か国から7名の外国人をはじめ、200名を超える参加者をお迎えいたしました。
お茶席に加え、雅楽の演奏、和風庭園に点心などの色々な日本伝統文化に触れることができると好評を得ました。


令和7(2025)年11月2日、平成15(2003)年4月26日から始まった瑠璃茶会が、第20回を迎えました。
午前中の国際交流席が2席、午後からの一般席が5席の計7席で、約250名が秋のお茶席を楽しんでくださいました。
海外からの留学生、外国人指導助手をはじめ、尾道市長、尾道市教育長はじめとする行政関係者、マスコミ関係者など17名を招待者としてお迎えいたしました。


このように、20年の歴史を歩んでまいりました「NPOみちてる」です。
この度、ホームページのリニューアルをいたしました。
2026年からの活動は、これまで以上にタイムリーにこちらに掲載してまいりますので、引き続きご支援・ご協力のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
